- 工藤耕太郎
大変、ご無沙汰しておりました
コロナ対策、コロナワクチンなどで、多忙なためブログのアップができませんでした。
さて、今日は向精神薬の不適切な使用について書き込んでみたいと思います。
向精神薬の不適切な使用で最も多いのは睡眠導入剤と抗不安薬だと思います。これらの薬剤は概ねベンゾジアゼピン受容体に作用するものがほとんどです。
強い依存性をもつことがすでにわかっており、連続使用はかなり条件が限られていると思います。
しかし、現実では睡眠導入剤や抗不安薬は多くの医療機関で濫用に近い形で処方されています。有害作用が少ないと誤解している医師が多いからです。
これらのベンゾジアゼピン受容体作動薬には強い依存性があります。これだけでも危険なのですが、高齢者に用いられた場合、誤嚥性肺炎の発症リスクが上昇し、認知機能障害を引き起こし、せん妄を誘発し、かつ転倒骨折リスクが上昇することが知られてます。
しかも、依存性の強い短時間型、つまり一気に効果を出す強い薬であるデパス(エチゾラム)、ハルシオン(トリアゾラム)などを弱い薬と曲解している医療者は少なくありません。短時間型のベンゾジアゼピン受容体作動薬というのは、依存性において最強の薬だと考えて良いと思います。 睡眠導入剤の使用は、年齢に応じた必須睡眠時間より少ない睡眠時間が週3回以上あり、それが4週間以上持続しており、さらに睡眠不足が日常生活に悪影響を及ぼしている時に限られます。しかし、高齢者が8時間以上眠りたいからと処方を希望される場合があまりにも多いです。
抗不安薬についても正常な不安に対して用いるのは、限りなく濫用に近いと考えられます。病的な不安、つまり対象のない不安に用いられるのが正しい使用法であり、不安障害などを専門医が診断してから用いられるべきだと考えます。
外来に多くのベンゾジアゼピン受容体作動薬の依存症の患者さんが初診されます。患者さん側は、睡眠導入剤や抗不安薬を処方された場合、医師に依存性などをきちんと確認されることを強くお勧めします。