• 工藤耕太郎

睡眠導入剤の気軽な処方について

外来で「眠れない」と訴えると睡眠導入剤が気軽に処方されてしまいます。これは精神科だけではなく、他の診療科でもよくあることです。しかし睡眠導入剤のほとんどは、服用した翌日に自動車を運転することを薬の添付文書(取扱説明書のようなもの)では禁じています。なぜなら睡眠導入剤は服用した次の日の認知機能を低下させる可能性があるからです。これは必ず処方前に医師が患者さんに説明すべきことですが、現実にはそうなっていないようです。 「眠れない」という患者さんの訴えを聞いた場合、睡眠習慣が適切であるかきちんと問診する必要があります。年齢に応じて必要な睡眠時間は異なり、必須睡眠時間以上の睡眠を患者さんが取ろうとしていることは稀ではありません。日中の昼寝、眠りもしないのに布団に入っていないかなどについて丁寧に問診し、どうしても必要な場合のみ睡眠導入剤は処方すべきです。先に認知機能障害について書き込みましたが、それだけでなく睡眠導入剤の多くには依存性があります。 睡眠導入剤の処方については丁寧な問診と睡眠に関する生活指導=睡眠衛生指導を行える医療機関に受診してからと考えるべきです。 少し古い本ですが、この本などを読むこともお勧めします。 「8時間睡眠のウソ。日本人の眠り8つの新常識」

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