• 工藤耕太郎

睡眠導入剤の気軽な処方について

外来で「眠れない」と訴えると睡眠導入剤が気軽に処方されてしまいます。これは精神科だけではなく、他の診療科でもよくあることです。しかし睡眠導入剤のほとんどは、服用した翌日に自動車を運転することを薬の添付文書(取扱説明書のようなもの)では禁じています。なぜなら睡眠導入剤は服用した次の日の認知機能を低下させる可能性があるからです。これは必ず処方前に医師が患者さんに説明すべきことですが、現実にはそうなっていないようです。 「眠れない」という患者さんの訴えを聞いた場合、睡眠習慣が適切であるかきちんと問診する必要があります。年齢に応じて必要な睡眠時間は異なり、必須睡眠時間以上の睡眠を患者さんが取ろうとしていることは稀ではありません。日中の昼寝、眠りもしないのに布団に入っていないかなどについて丁寧に問診し、どうしても必要な場合のみ睡眠導入剤は処方すべきです。先に認知機能障害について書き込みましたが、それだけでなく睡眠導入剤の多くには依存性があります。 睡眠導入剤の処方については丁寧な問診と睡眠に関する生活指導=睡眠衛生指導を行える医療機関に受診してからと考えるべきです。 少し古い本ですが、この本などを読むこともお勧めします。 「8時間睡眠のウソ。日本人の眠り8つの新常識」

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フレイルの危険因子と対策

8月の上野原市の市報に掲載された私の記事を転載いたします。 フレイルは、偏った食事、運動不足、疼痛、難聴、抑うつ、認知機能障害などで生じやすくなります。また、服用している薬が6剤以上の場合、フレイルになりやすいとされています。 低タンパクの食事はフレイルの危険因子です。したがって肉や魚や大豆などを食べることは重要です。血糖値やコレステロール値は高すぎてもフレイルの危険因子となりますが、気を付けな

大変、ご無沙汰しておりました

コロナ対策、コロナワクチンなどで、多忙なためブログのアップができませんでした。 さて、今日は向精神薬の不適切な使用について書き込んでみたいと思います。 向精神薬の不適切な使用で最も多いのは睡眠導入剤と抗不安薬だと思います。これらの薬剤は概ねベンゾジアゼピン受容体に作用するものがほとんどです。 強い依存性をもつことがすでにわかっており、連続使用はかなり条件が限られていると思います。 しかし、現実では

怒っていらっしゃるご高齢の方

入院依頼の多くを占める事例は「BPSD」(認知症周辺症状)がコントロールできず、施設や家庭での介護が不可能というものです。BPSD(認知症周辺症状)とは認知症に伴って、以前より怒りっぽくなったり妄想をもったりするという概念です。 抗認知症薬や睡眠導入剤や抗精神病薬がすでに処方されていることが殆どです。薬の添付文書(製薬会社が発行している取扱説明書)を読めば、一定以上の確率で、抗認知症薬が易怒性を誘